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さらに7年後 古川禎久分科員の質問 [動物病院]

第159回国会-衆-予算委員会第四分科会-2号 平成16年03月02日

○古川(禎)分科員 ありがとうございます。協議会で検討が進められておるということも聞いておりますし、また、長年にわたりまして関係の方々の努力が続いておるということにつきまして、敬意を表したいと思います。
 しかしながら、私なりに、現在の我が国の獣医学の状況というものを、諸外国の例と比較しながら自分でちょっと勉強をしてみました。その際、大きく言いまして二点ほど、浮き彫りになった問題点があったと考えております。
 まず一点目は、実務教育につきまして、我が国の場合、不十分ではないかというようなことでございます。
 欧米の獣医学の修業年限はおおむね六年から七年、そのうち専門教育が四、五年、さらにそのうちの二、三年は動物病院や牧場あるいは獣医公衆衛生の現場での実務教育が主体となって行われておりまして、卒業後直ちに獣医師として役立つ、そのような教育が行われております。また、卒業後の教育としまして、インターン制度やレジデント制度、専門医制度も確立いたしております。
 これに対しまして、我が国の場合はと申しますと、今、副大臣おっしゃいましたように、五十九年に四年から六年に修業年限を延長いたしました。しかしながら、その教育の内容におきましては、十分な質的転換が行われていないように感じております。
 例えますならば、専門教育のうち、その三分の二は講義主体の教育になっておりまして、実習、演習のための時間は約三分の一にすぎない。これに対しまして、欧米の場合は、ちょうどこの比率が逆になっておるということもありまして、比較的、実務の教育訓練が劣っているように思われます。したがいまして、基礎獣医学におきましては欧米にはまさるとも劣らないといえども、臨床または応用獣医学、公衆衛生における教育体制というものは不十分だというような感想を私は受けました。
 さらに、インターン制度、レジデント制度あるいは専門医制度というものが、日本の場合は獣医学教育においては設置されておりませんので、そういう意味での支援体制も不十分ではないかと考えております。我が国におきましても、人を診るお医者さんは、そのような研修医の制度、コースというものがあるわけです。それに比べまして、人以外のすべての分野を扱うところの獣医学におきましては、そのような制度がなされていない、準備されていないということは、やはりその不十分さを物語るものではないかと思うわけです。
 そのような意味で、私は、実習のための施設や設備、あるいは実務経験のある十分な数の教員、あるいは動物飼育等が可能になるような研究環境、そのような環境整備、教育のための環境整備を、もっと重点を置いて整備をすることによって我が国の獣医教育の質的転換を図るべきではないかと考えております。この点につきまして、文部科学省の御見解をお尋ねしたいと思います。

○遠藤政府参考人 御指摘のとおりでございまして、先ほど副大臣の方から、昭和五十九年に四年制から六年制に延長した、これもやはり、御指摘のような臨床的な教育が不足しているということで、年限を延長してそちらをという趣旨であったのか、こうも思っておりますけれども、それまで、御指摘のように、基礎的な獣医学、研究中心ということでやってまいりましたので、どうしてもやはりその傾向がこれまでも続いているというのが一つの我が国の大きな特徴だと思っております。
 その中でも、生理学、病理学などの基礎獣医学、内科学、外科学などの臨床分野、あるいは食品衛生や家畜衛生などの公衆衛生分野など、幅広い領域にわたる知識が獣医学教育に求められている、こういうことで、この中で実践的な臨床教育を行っているということでございまして、具体的に申しますと、大学基準協会で標準カリキュラムというものを最近作成してございますが、そういったものも参考にしながら、各大学では、例えば獣医内科学臨床実習、獣医外科学臨床実習、獣医臨床繁殖学実習、こういった授業科目を設け、さらには、附属の家畜病院あるいは地域の畜産関係施設などを活用して実践的な実習教育を行っている、こう理解しておるわけでございます。
 具体的には、例えばこれは北大の例でございますけれども、臨床実習科目十六単位、時間数にして大体七百二十時間ぐらいやっておる、こういうことも聞いておりますけれども、まだまだ欧米に比べてそういう意味での臨床が少ないというのはそうであろう、こう思っております。
 それから、卒後の研修のお話が出ました。医師、歯科医師の養成では、従来から、卒後の臨床研修、医師の場合二年、歯科医師は一年ということで長くやってまいりまして、最近、これが法制化されまして、この四月から、医師については、二年間の臨床研修が義務化になる、それから、歯科医師についても、厚生労働省の方で法改正をいたしまして、平成十八年の四月から、一年間義務化される、こういう状況であるということを聞いております。
 御指摘のように、獣医師につきましては、こういう卒業した後の臨床研修が組織的にやられているという状況ではございませんで、それぞれの獣医師が、例えば大動物の関係におきましては、近隣の農業共済団体の家畜診療施設等で行うとか、あるいは小動物関係でございますと、個人動物病院等でいわばオン・ザ・ジョブ・トレーニングという形で知識、技術の向上を図っている、これが現状だろう、こう思っております。
 やはり臨床というのをこれからも大事にし、そういった意味での環境整備を図っていく必要があるだろう、こう思っております。

古川禎久分科員:自民党・当選1回・元建設省職員
遠藤純一郎政府参考人:文部科学省高等教育局長

これは農林水産委員会ではなく、予算委員会の分科会、文部科学省についてのの質疑。
小動物では臨床研修を実施せず、開業獣医師の下で、いきなり臨床にあたっている実態が語られている。
また、農林水産省から小動物医療の改善についての相談を持ちかけられた気配も見えない。

「オン・ザ・ジョブ・トレーニング」の最中に犠牲になった動物が数多くいること
適切なカリキュラムに基づかない臨床経験で開業した小動物獣医師の知識や技能にはバラつきがあること
を、彼らは知らないし、管轄外なので何もしない。
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5年後 一井淳治理事の質問 [動物病院]

第140回国会-参-農林水産委員会-10号 平成09年04月03日

○一井淳治君 ・・・省略・・・
 次に、獣医師さんの問題について質問をさせていただきたいと思います。
 たしか平成四年に法改正をした記憶がございます。これはたしか獣医師さんの高齢化が大変進んでいくと、そして産業動物に対する獣医師さんが不足をして畜産業の発達に支障を生ずるんではなかろうかということも危惧されておったわけであります。
 そういった中で、獣医師さんの法律が改正されましてかなり整備がされてきておるんではないかと期待しておるわけでございますけれども、そのあたりについて御説明をお願いしたいと思います。

○国務大臣(藤本孝雄君) 先ほどの水島港の問題、私も勉強させていただきますので、そのようにお含みくださいませ。
 それから、獣医療法制定後の産業動物獣医師の問題でございますが、これは先ほど言われましたように、平成四年、獣医療法が制定されまして以降、産業動物獣医師を確保するために、産業動物獣医師を志向する学生への修学資金の給付であるとか産業動物獣医師の臨床研修、また産業動物診療施設の整備に必要な長期低利資金の給付などの対策を積極的に推進しております。
 その結果、産業動物開業獣医師を含めました産業動物獣医師の数はほぼ同水準で推移しておりまして、平均年齢もやや改善の方向にございます。
 なお引き続きまして、産業動物に対する適切な獣医療の提供がなされますように指導してまいりたい、このように考えております。

一井淳治理事:社会党・当選1回・弁護士
国務大臣:藤本孝雄農林水産大臣

質問が産業動物に限定されているが、臨床研修は産業動物獣医師を念頭に置いたものだったということがうかがわれる。
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臨床研修の目的 [動物病院]

赤城徳彦委員:自民党・後の農林水産大臣
倉田栄喜委員:公明党・弁護士
小平忠正委員:民社党・牧場経営
ここで取り上げた3人の委員は、いずれも2年前の総選挙で初当選した当選1回の議員

赤保谷明正政府委員:農林水産省畜産局長
当時の農林水産大臣は田名部匡省さん

123回国会では、衆議院で3日、参議院で4日の委員会審議があった。
答弁する人は同じだから、参議院でもほぼ同じようなやりとりがおこなわれている。

会議録を読んでわかったことは、
17年前当時も小動物に進む獣医師が多く、産業動物は人手不足だった
産業動物獣医師を確保するために臨床研修制度を導入した

小動物獣医師に対する臨床研修なんて、最初からするつもりはなかった。
むしろ、産業動物獣医師にだけ臨床研修を実施したいというのが平成4(1992)年改正の意図だったのだ。
こんな前世紀の法律に縛られていては小動物獣医療は向上しない。
もちろん獣医師によってピンからキリまであるが、かかりつけ医の足を引っ張っているのが獣医師法なのだということが良くわかった。

しゃべれない家族のためには法改正が必要だと、ようやくわかった。
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小平忠正委員の質問 [動物病院]

○小平委員 おっしゃることはわかりますが、現在の獣医師教育、ここについて私はちょっと質問いたしま粉が、修学年限を四年から六年制に延長したのを初めとして、一貫して獣医師の資質と地位の向上を目指してきたということもまた事実であります。確かにそれによって獣医師の技術水準は向上したわけであります。しかしながら、そのことによって逆に獣医師になるためにより時間とお金がかかるようになった。獣医師が産業動物から離れて、もっと収入の得られるペット獣医師へと流れていってしまう。時間と費用がかかったことによって、それを取り戻すというか、そんなこともあってそういう方向に行ったのではないか、こう思うのであります。
 そこで、産業動物獣医師確保という観点から、現在の獣医師教育のあり方についてどのようにとらえておられるのか、何らかの見直しを考える必要はないのか、この点についてお考えなりをお聞きしたいと思います。
 また、今回の改正で臨床研修制度が新たに導入されることになっておりますが、これは獣医師を養成するのにさちに時間とお金がかかることになり、いわゆるペット獣医師への偏向に一層拍車をかけることになるのではないか、こんなふうに思うのですが、この点を含めていかがでしょうか。

○赤保谷政府委員 獣医師を養成するに当たっての学校教育、大学教育のあり方についてのお尋ねがございましたが、これは文部省、私ども、いろいろな角度からそれぞれ慎重に検討していかなければならない問題だろうと思います。ただ、学校教育ではおのずと実技、診療、そういう面で対象動物も限られている。そういうこともありまして、私どもでは、卒後の研修に力を入れていこうということで今度制度の中にも取り入れることにいたしておるわけでございます。
 それで、臨床研修制度に関しましては、獣医系大学の学生が産業動物分野に就業しない理由の一つとして、就職後における研修機会が少ない、小動物については都会でいろいろそういう機会があるわけですけれども、産業動物については研修機会が卒後少ないということを就業しない理由として挙げているということ。そういうことも踏まえて考えますと、この臨床研修制度は、産業動物獣医師の確保を困難にするというものではなくて、むしろ獣医系学生を産業動物へ誘導する効果があるものと考えております。
 なお、研修を受けるに当たってその間の費用がいろいろかかりますが、それは個人の負担がほとんどないような形で研修を実施してまいりたいというふうに考えております。

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倉田栄喜委員の質問 [動物病院]

○倉田委員 先ほど大臣の御答弁の中にありましたし、また午前中からるる質問が出ておりますが、今回の改正の一つの目的の中で産業獣医師さんの確保、こういう問題点もあるんだろうと思うのです。
 そこでお伺いをしたいわけですけれども、非常に不足をしておって、中にはおられない地域もある、こういう話でございますけれども、そもそも今回の法律で開業獣医師さんの確保というのか今後の確保の見通しができると考えておられるかどうか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。

○赤保谷政府委員 今回法案を御審議をお願いしている大きな理由の一つとして、産業動物の獣医師の確保を図るということがあるわけでございます。それで、獣医師の確保に関する目標を都道府県計画において定める、この目標に向けて関係者の努力を促すということにいたしておるわけでございます。
 こうした関係者の努力に対しまして、産業動物開業獣医師それから農業団体を対象とした診療施設の整備のための公庫資金、長期低利の資金の貸し付けということを考えておるわけですが、そのほか、在学中の獣医師を志望する学生さんを支援するための修学資金を拡充して給付をする、あるいは勤務獣医師のOBの方、そういう方々の産業動物診療への参入を促進する、そういうような事業も実施をいたしておりますし、獣医師の不足する地域に対しましては開業の民間の獣医師さんに巡回診療をお願いする、そういった事業の実施に対する支援も行っていくこととしているわけでございます。
 獣医師に求められる診療技術が多様化、高度化してきているという状況に対しましてその技術の向上を図る、これも必要でございます。それで、獣医師免許取得後における臨床研修の制度を確立する、昔のお医者様のインターンのような制度でございますが、そういうことだとか、あるいは産業動物獣医師が集団衛生管理のための技術あるいは高度診療機器を用いた診療技術等の習得を図るための高度な技術研修を実施することといたしておるわけです。
 国と都道府県が一体となりまして各般の対策を基本方針、都道府県計画に即しまして実施することによって産業動物獣医師の誘導、定着を推進していきたいと考えているところでございます。

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赤城徳彦委員の質問 [動物病院]

国会会議録検索システムを利用して、平成4(1992)年改正時の委員会審議を調べてみた。

第123回国会-衆-農林水産委員会-6号 平成04年04月14日
    ―――――――――――――
○赤城委員 それでは、いわゆる畜産三法の問題に移らせていただきます。
 まず獣医師の仕事、最近は大変広範囲にわたっております。産業動物の診療も、従来の個体診療から群全体を見るというような方向へ、あるいは予防というものがクローズアップされている。それから公衆衛生の分野、狂犬病ばかりでなく屠畜検査、食品衛生監視、さらに小動物、ペット関係、ペットも全世帯の三割以上がペットを飼っているということで、それに対する獣医師も個人開業の三分の二が小動物関係ということが言われています。獣医師さんの仕事も非常に広範囲にわたっているわけで、その任務の重要性、畜産業あるいは我々の生活の安全、健康、そういった面で、その重要性というのはもう一般の医師、歯科医師とまさるとも劣らないものだと思います。そういう獣医師さんの重要性というものをしっかりと位置づけて、これから行政をやっていかなければいけないなというふうに思うわけであります。
 そこで、特に産業分野の獣医師さんが不足しておるということが今非常に問題になっております。産業分野でも、先ほど申しましたように飼養規模が増大しておりますので、慢性的な疫病とかあるいは集団的な衛生管理技術、こういうものが重要でありますし、医薬品の残留問題、受精卵移植の技術、役割は非常に広範になっているのですけれども、それに対して産業動物の開業獣医師さんが大変高齢化しておりまして、六十一歳以上の獣医師さんが六四%、平均年齢でも六十一歳、高齢化が進んでおります。それに伴って、都道府県、市町村、共済組合、農協、あらゆるところで獣医師さんが不足しております。
 なぜこんなに不足しているのかと考えてみますと、何といっても産業動物の獣医師さんは往診が中心になりますので、それも往診といっても、私の地元では三十キロも五十キロも離れたところ、一日がかりで往診に行って、しかも大動物ですから、その労働たるや大変重労働あるいは危険を伴うわけであります。収入面でも小動物に比べまして非常に劣るということ、そういったこともありまして、今獣医系の大学で産業動物を担当する学生さんが非常に少なくなっているというふうに聞きます。学生さんでも都会の出身者や女子がふえているということでありますので、特に産業動物あるいは農家出身、農業高校出身の生徒さんが獣医系の大学へもっと進学してもらうように対策が必要だと思うわけです。
 一つは、獣医系大学の定員をふやして、農業高校とか農家の子弟を中心に推薦で入学をするというようなことをもっと考えなければいけないのじゃないか、あるいは奨学金制度がありますけれども、これはもっと拡充していくという対策が大事だと思います。
 それから、大学で学んでも実際に臨床、実地でやっておりませんと、いきなり産業動物というのは、学校ではなかなか経験できないわけでありますので、そういう臨床研修の制度を今度設けておるわけですけれども、特にそれに対して法律で政府が援助する、こういうふうになっております。そこらはどういうふうに援助していくのか。
 それから、これはまたちょっとそれに関連してなのですが、既に開業している獣医師さんにとっても、ここら辺新しい技術ができできますと、それを研修で学ぶということが大事になってきます。いわゆる高度研修についてどういうふうに考えていくのか。そういった対策についてどう考えるか、お尋ねいたします。

○赤保谷政府委員 産業動物の獣医師さんが不足している、その不足に対する対策いかんというような御趣旨の御質問だと思いますが、日本のこれまでの畜産の発展、発達を図る上において、産業動物の獣医師さんは非常に重大な役割を果たしてきたところでございますが、今お話がありましたように、近年、産業動物の開業獣医師さんの高齢化が進んでいる、それから農業共済団体、農協等における獣医師系職員の確保も困難になってきている。そういったように獣医師の確保が困難な地域が発生して、畜産業の健全な発展に支障を生ずるのではないかといった懸念が強まってきているわけでございます。
 こうしたことから、今回、地域における高度で体系的な獣医療を提供する体制の整備を図るために、そのための計画制度を法律で設けることとして御審議をお願いしているわけですが、その計画制度におきましては、国の定める基本方針に即して都道府県が計画を定める、それで都道府県計画において獣医師の確保に関する目標を定めまして、この目標に向けて関係者の努力を促すということにしているわけでございます。
 さらに、具体的な支援措置として、お話もございましたが、産業動物開業獣医師と農業団体を対象とした診療施設の整備のための農林漁業金融公庫による長期低利資金の貸し付けたとか、これまたお話がありましたが、産業動物獣医師を志向する学生さんを支援するための修学資金の給付、これも拡充をしようと思っております。それから、獣医師免許取得後における臨床研修の実施、卒業後すぐ一般の臨床研修をする場合と、開業してしばらくたってから日進月歩の技術を習得しようといういわば高度の技術習得研修、そういう研修、それから勤務獣医師のOBの方、家畜保健衛生所のOBの方とか、そういう方の産業動物診療への参入を促進するための講習会の開催、あるいは獣医師が不足する地域における民間の開業獣医師さんに巡回診療をしていただく、そういうようなこと、いろいろなことを行うことといたしておるわけでございます。
 以上のように、国と都道府県が一体となって、各般の対策を基本方針、都道府県計画に即して実施することによりまして、産業動物獣医師の誘導、定着を推進してまいりたい、かように考えているところでございます。

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獣医師法の変遷 [動物病院]

法律は制定された後も度々改正される。
獣医師法の変遷、特にペットの診療と臨床研修に関係しそうな改正を抜粋してみる。

◎獣医師法
(この法律の目的)
第一条 この法律は、獣医師の技能の最高水準とその業務の適正とを確保し、もつて畜産業の発達を図り、あわせて公衆衛生の向上に寄与することを目的とする。
(試験の目的)
第十条 獣医師国家試験は、家畜の診療上必要な獣医学並びに獣医師として具有すべき公衆衛生に関する知識及び技能について行う。
 (受験資格)
第十二条 左の各号の一に該当する者でなければ、獣医師国家試験を受けることができない。
一 正規の大学において獣医学の四年以上にわたる課程を修めて、これを卒業した者
(家畜診療業務の制限)
第十七条 獣医師でなければ、家畜(牛、馬、めん羊、山羊、豚、犬、猫及び鶏をいう。)の診療を業務としてはならない。
法律第百八十六号(昭二四・六・一)
◎獣医師法の一部を改正する法律
 獣医師法(昭和二十四年法律第百八十六号)の一部を次のように改正する。
 第十二条第一号を次のように改める。
 一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学(短期大学を除く。)において獣医学の正規の課程を修めて卒業し、かつ、同法に基づく大学院において獣医学の修士の課程を修了した者
法律第四十七号(昭五二・五・二七)
◎学校教育法の一部を改正する法律
 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。
 第五十五条に次の一項を加える。
  獣医学を履修する課程については、第一項本文の規定にかかわらず、その修業年限は、六年とする。
 (獣医師法の一部改正)
3 獣医師法(昭和二十四年法律第百八十六号)の一部を次のように改正する。
  第十二条第一号中「卒業し、かつ、同法に基づく大学院において獣医学の修士の課程を修了した者」を「卒業した者」に改める。
法律第五十五号(昭五八・五・二五)
◎獣医師法の一部を改正する法律
 獣医師法(昭和二十四年法律第百八十六号)の一部を次のように改正する。
 第一条を次のように改める。
 (獣医師の任務)
第一条 獣医師は、飼育動物に関する診療及び保健衛生の指導その他の獣医事をつかさどることによつて、動物に関する保健衛生の向上及び畜産業の発達を図り、あわせて公衆衛生の向上に寄与するものとする。
 第一条の次に次の一条を加える。
 (定義)
第一条の二 この法律において「飼育動物」とは、一般に人が飼育する動物をいう。
 第十条中「家畜」を「飼育動物」に、「具有すべき」を「必要な」に改める。
 第三章中第十六条の次に次の四条を加える。
 (臨床研修)
第十六条の二 診療を業務とする獣医師は、免許を受けた後も、大学の獣医学に関する学部若しくは学科の附属施設である飼育動物の診療施設(以下単に「診療施設」という。)又は農林水産大臣の指定する診療施設において、臨床研修を行うように努めるものとする。
2 農林水産大臣は、前項の指定をしようとするときは、あらかじめ、獣医事審議会の意見を聴かなければならない。
第十六条の三 前条第一項に規定する診療施設の長は、当該診療施設において同項の臨床研修を行つた者があるときは、当該臨床研修を行つた旨を農林水産大臣に報告するものとする。
 (農林水産省令への委任)
第十六条の四 前二条に規定するもののほか、第十六条の二第一項の臨床研修の実施の期間及び診療施設の指定、前条の規定による報告その他の臨床研修の実施に関して必要な事項は、農林水産省令で定める。
 (臨床研修の実施に関する援助)
第十六条の五 農林水産大臣は、第十六条の二第一項の臨床研修の円滑な実施を図るため、同項に規定する診療施設の長に対し、必要な資料の提供、助言、指導その他の援助を行うよう努めなければならない。
 第十七条の見出し中「家畜診療業務」を「飼育動物診療業務」に改め、同条中「家畜」を「飼育動物」に、「めん羊」を「めん羊」に、「及び鶏をいう」を「、鶏、うずらその他獣医師が診療を行う必要があるものとして政令で定めるものに限る」に改める。
 第十九条の次に次の一条を加える。
 (保健衛生の指導)
第二十条 獣医師は、飼育動物の診療をしたときは、その飼育者に対し、飼育に係る衛生管理の方法その他飼育動物に関する保健衛生の向上に必要な事項の指導をしなければならない。
法律第四十五号(平四・五・二〇)
かなり見づらくて申し訳ないのだが、
◎昭和24(1949)年当初は畜産を目的としていた
◎昭和52(1977)年の改正で、教育期間が実質6年に延長された
◎平成4(1992)年の改正で、飼育動物が対象となり、臨床研修についての規定が追加された

このように読んだのだが、立法の意図はどうだったのだろうか。
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獣医事審議会計画部会開催告知 [動物病院]

平成21年度獣医事審議会第1回計画部会の開催及び一般傍聴について
本日、農林水産省より発表がありました。

民間・研究、小動物、公務員および産業動物の4つの分野に分け、3回ずつおこなわれたワーキンググループの内容を元に、審議会としての答申に向けた議論がおこなわれる。

日時・場所 10月9日 13:30-16:00@農林水産省本館

傍聴希望者は開催日の2日前17時00分までにFAXで申し込むこと。

今までの会議の配布資料は、農林水産省/獣医事審議会のページにある。
議事録は公開できないんですかね。委員や参考人が言った内容こそが重要だと思うんだけど。
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適切な獣医療の提供 [動物病院]

総選挙で政権政党が代わることになったが、そんなことはお構いなしに平成22年度 農林水産予算概算要求の概要が発表された。
4.適切な獣医療の提供
今後不足が予測される産業動物(牛、豚等)分野等の獣医師の確保を図るため、新たな「獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針」に基づき、学生を対象とした産業動物臨床実習や産業動物獣医師を対象とした卒後研修を充実強化します。
【獣医療提供体制整備推進総合対策事業103(0)百万円】
【消費・安全対策交付金2,909(2,314)百万円の内数】

食の安全と消費者の信頼確保(PDF:802KB)

括弧内は21年度当初予算額だから、新規事業なのだろう。
あくまでも「食の安全」についての予算要求。
第16条の2 診療に従事しようとする医師は、2年以上、医学を履修する課程を置く大学に附属する病院又は厚生労働大臣の指定する病院において、臨床研修を受けなければならない。
医師法
第16条の2 診療を業務とする獣医師は、免許を受けた後も、大学の獣医学に関する学部若しくは学科の附属施設である飼育動物の診療施設(以下単に「診療施設」という。)又は農林水産大臣の指定する診療施設において、臨床研修を行うように努めるものとする。
獣医師法
獣医師については努力義務(しかもわずか半年!)を課しているが、ほとんど実施されていない。
動物病院の先生は犬、猫に限らず鳥でも何でも、あらゆる動物を診る。
臨床研修をまったく受けていなくても、診療できちゃうっていうのは恐ろしい。

予算概算要求で取り上げられた「獣医療」は産業動物(牛、豚等)を対象としたものだ。
病気や怪我をした犬や猫を治療することも獣医療には違いないが、彼らが考える優先順位では予算要求できるものに該当しないということ。
動物病院の獣医師を所管する部署は「農林水産省 消費・安全局 畜水産安全管理課」で、地方では都道府県の「家畜保健衛生所」。
毎日世話をする必要があって泊りがけの旅行も制限されるから、酪農に近いものがあるかもしれないけれど、うちのわんこは家畜じゃない!
いまは子供の数より犬の方が多いんだよ。
役所の形が古すぎる。

きれいな服を着せ、アクセサリーで飾るような動物福祉は望まないけど、飼い主の信頼に応えられない獣医師を無責任に作り出す制度は改めてほしい。
特定のセクトの影響下にない代議士がたくさん誕生したはず。
小動物獣医師に対する臨床研修の義務化と、必要なら国庫支出もすることを彼らに要求しよう。
後期高齢者医療制度廃止や高速道路の無料化より、こっちを優先してやってくれないかな…?

予算が無いから? [動物病院]

獣医師になるには、獣医学系の6年制大学を卒業し、国家試験に合格する必要がある。
だが、この時点では臨床経験はない。
(飼育動物診療業務の制限)
第17条  獣医師でなければ、飼育動物(牛、馬、めん羊、山羊、豚、犬、猫、鶏、うずらその他獣医師が診療を行う必要があるものとして政令で定めるものに限る。)の診療を業務としてはならない。
獣医師法

臨床研修は獣医師になった後にしか実施できないわけだが、全員が受けているわけではない。
それどころか、「予算が無い」から義務化していない。
日本中央競馬会からの寄附で馬を対象とした臨床研修が一部でおこなわれている。
なるほど競走馬に関わる診療所では、経験を積んだ獣医師が診てくれる。

「仮免許で公道を走ったことが無い状態」で街に出てゆく。
もちろん多くは診療施設で実質的な研修を受けるけれど。
プロとしての技術は不問だが、獣医師としての裁量は認めるという今の制度は時代遅れなんじゃない?

ペットの飼い主は、獣医師を医師と同じように信頼している。
その信頼に、制度として応えて欲しい。

うっかり納得してしまいがちだが、「予算が無いから」って言い訳だよね。
必要だと思っていないから「予算をつけない」。そういう政策をとっているのだと、ごまかさずに公言しようよ。

獣医事審議会で、獣医師制度についての中期的な方向を検討している。
「子供の数より多いペット」のお医者さんに、みんなが何を期待しているのか。
そのためには何が必要なのか。
「獣医事審議会としてはこう考える」っていう、あるべき姿を提示してくれるよう期待している。
それにを元に、財源も考慮して予算措置するのは政治の仕事。

獣医師への1年以上の臨床研修義務化をマニフェストに入れてくれる政党ある?
HRPは勘弁だけど、事と次第によっては蟹工船にでも乗っちゃうよ。
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