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赤城徳彦委員の質問 [動物病院]

国会会議録検索システムを利用して、平成4(1992)年改正時の委員会審議を調べてみた。

第123回国会-衆-農林水産委員会-6号 平成04年04月14日
    ―――――――――――――
○赤城委員 それでは、いわゆる畜産三法の問題に移らせていただきます。
 まず獣医師の仕事、最近は大変広範囲にわたっております。産業動物の診療も、従来の個体診療から群全体を見るというような方向へ、あるいは予防というものがクローズアップされている。それから公衆衛生の分野、狂犬病ばかりでなく屠畜検査、食品衛生監視、さらに小動物、ペット関係、ペットも全世帯の三割以上がペットを飼っているということで、それに対する獣医師も個人開業の三分の二が小動物関係ということが言われています。獣医師さんの仕事も非常に広範囲にわたっているわけで、その任務の重要性、畜産業あるいは我々の生活の安全、健康、そういった面で、その重要性というのはもう一般の医師、歯科医師とまさるとも劣らないものだと思います。そういう獣医師さんの重要性というものをしっかりと位置づけて、これから行政をやっていかなければいけないなというふうに思うわけであります。
 そこで、特に産業分野の獣医師さんが不足しておるということが今非常に問題になっております。産業分野でも、先ほど申しましたように飼養規模が増大しておりますので、慢性的な疫病とかあるいは集団的な衛生管理技術、こういうものが重要でありますし、医薬品の残留問題、受精卵移植の技術、役割は非常に広範になっているのですけれども、それに対して産業動物の開業獣医師さんが大変高齢化しておりまして、六十一歳以上の獣医師さんが六四%、平均年齢でも六十一歳、高齢化が進んでおります。それに伴って、都道府県、市町村、共済組合、農協、あらゆるところで獣医師さんが不足しております。
 なぜこんなに不足しているのかと考えてみますと、何といっても産業動物の獣医師さんは往診が中心になりますので、それも往診といっても、私の地元では三十キロも五十キロも離れたところ、一日がかりで往診に行って、しかも大動物ですから、その労働たるや大変重労働あるいは危険を伴うわけであります。収入面でも小動物に比べまして非常に劣るということ、そういったこともありまして、今獣医系の大学で産業動物を担当する学生さんが非常に少なくなっているというふうに聞きます。学生さんでも都会の出身者や女子がふえているということでありますので、特に産業動物あるいは農家出身、農業高校出身の生徒さんが獣医系の大学へもっと進学してもらうように対策が必要だと思うわけです。
 一つは、獣医系大学の定員をふやして、農業高校とか農家の子弟を中心に推薦で入学をするというようなことをもっと考えなければいけないのじゃないか、あるいは奨学金制度がありますけれども、これはもっと拡充していくという対策が大事だと思います。
 それから、大学で学んでも実際に臨床、実地でやっておりませんと、いきなり産業動物というのは、学校ではなかなか経験できないわけでありますので、そういう臨床研修の制度を今度設けておるわけですけれども、特にそれに対して法律で政府が援助する、こういうふうになっております。そこらはどういうふうに援助していくのか。
 それから、これはまたちょっとそれに関連してなのですが、既に開業している獣医師さんにとっても、ここら辺新しい技術ができできますと、それを研修で学ぶということが大事になってきます。いわゆる高度研修についてどういうふうに考えていくのか。そういった対策についてどう考えるか、お尋ねいたします。

○赤保谷政府委員 産業動物の獣医師さんが不足している、その不足に対する対策いかんというような御趣旨の御質問だと思いますが、日本のこれまでの畜産の発展、発達を図る上において、産業動物の獣医師さんは非常に重大な役割を果たしてきたところでございますが、今お話がありましたように、近年、産業動物の開業獣医師さんの高齢化が進んでいる、それから農業共済団体、農協等における獣医師系職員の確保も困難になってきている。そういったように獣医師の確保が困難な地域が発生して、畜産業の健全な発展に支障を生ずるのではないかといった懸念が強まってきているわけでございます。
 こうしたことから、今回、地域における高度で体系的な獣医療を提供する体制の整備を図るために、そのための計画制度を法律で設けることとして御審議をお願いしているわけですが、その計画制度におきましては、国の定める基本方針に即して都道府県が計画を定める、それで都道府県計画において獣医師の確保に関する目標を定めまして、この目標に向けて関係者の努力を促すということにしているわけでございます。
 さらに、具体的な支援措置として、お話もございましたが、産業動物開業獣医師と農業団体を対象とした診療施設の整備のための農林漁業金融公庫による長期低利資金の貸し付けたとか、これまたお話がありましたが、産業動物獣医師を志向する学生さんを支援するための修学資金の給付、これも拡充をしようと思っております。それから、獣医師免許取得後における臨床研修の実施、卒業後すぐ一般の臨床研修をする場合と、開業してしばらくたってから日進月歩の技術を習得しようといういわば高度の技術習得研修、そういう研修、それから勤務獣医師のOBの方、家畜保健衛生所のOBの方とか、そういう方の産業動物診療への参入を促進するための講習会の開催、あるいは獣医師が不足する地域における民間の開業獣医師さんに巡回診療をしていただく、そういうようなこと、いろいろなことを行うことといたしておるわけでございます。
 以上のように、国と都道府県が一体となって、各般の対策を基本方針、都道府県計画に即して実施することによりまして、産業動物獣医師の誘導、定着を推進してまいりたい、かように考えているところでございます。

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