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獣医学生の臨床実習について [動物病院]

すっかりご無沙汰しております。
原付でうろうろしていることだけは間違いないですけれど。

今回はちょっと古い話の蒸し返しです。

(飼育動物診療業務の制限)

第十七条 獣医師でなければ、飼育動物(牛、馬、めん羊、山羊、豚、犬、猫、鶏、うずらその他獣医師が診療を行う必要があるものとして政令で定めるものに限る。)の診療を業務としてはならない。

獣医師法

獣医学生は卒業・国家試験に合格することによって獣医師となることができるが、それまでは診療できないことになっているのです。
(臨床研修)

第十六条の二  診療を業務とする獣医師は、免許を受けた後も、大学の獣医学に関する学部若しくは学科の附属施設である飼育動物の診療施設(以下単に「診療施設」という。)又は農林水産大臣の指定する診療施設において、臨床研修を行うように努めるものとする。

獣医師法

資格取得後にちゃんとした研修を受けるような仕組みになっていれば良いのですが、臨床研修は努力義務でしかありません。大学の動物病院と民間の高度診療をおこなう数少ない機関だけが研修施設として認められていますが、受け入れ可能数は新規獣医師の数よりはるかに少ないというのが現状です。カリキュラムやガイドラインの制約のない、個人経営を含む市中の動物病院で研鑽していく人が多いはずです。研修のようなガイドラインがないのですから、どの程度スキルを身につけられるかはよくわかりません。指導する側や指導を受ける側の資質によっては、臨床診療するに適さない獣医師が送り出されることになります。

このような現状を踏まえ、「獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針」という中期計画をまとめていた平成22(2010)年3月17日開催の獣医事審議会計画部会において
臨床実習の条件整備に係るワーキンググループ設置要領に基づいて実習でおこなっても差し支えない範囲の検討を始めました。
結果を受け、農林水産省は獣医学生の臨床実習における獣医師法第17条の適用についてという文書で、獣医学生に許される行為についての考え方を大学に対して通知しています。

水準1~3に応じて、「教員の指導・監督の下に実施」、「教員の指導・監視の下に実施」、「教員の実施の見学」を区別しています。飼育動物への侵襲性の程度を基準に分類しています。

一番気になっているのは、水準1とされた「問診」です。動物と会話することは多分無理なので、飼い主さんや所有者から症状などを聞き出すことなのでしょう。誰から聞くにしても、問診なので侵襲性はありません。

学生15人程度に対して教員を配置するわけですから教員の同席は必ずしも必要と考えてはいないのでしょう。そこで学生が軽すぎる判断をしてしまうことが心配です。経験のある獣医師なら問診の過程で飼い主が気づいていない病気のサインを見つけられるかも知れません。だとすると、水準2として丁寧に扱ってくれないだろうか。

獣医療に関するトラブルにふれることがよくあります。コミニュケーション不足によるものも多いと思いますが、診療する側のレベル不足によるものも多いように感じています。現在の臨床研修制度が対象としている高度な獣医療も必要だと思いますが、最低限の水準をしっかりと確保できるような体制を整えてもらいたいと思います。
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